「これ、何色に見えるん?」。
級友たちからは幾度となくそのような質問を受けました。「色盲」とは、色が見えない、青が黄色に見えたりするらしい。そんな推測をしているようなのです。友人は、たとえば黒板を指して言います。「あの色、なに色?」
私は、ショックは覚えませんでしたが、説明に困りました。
私の目にうつっているあの黒板は、たしかに「緑」(深緑)ですが、それを告げても回答にはならないでしょう。なぜなら 、彼の疑問は、「その緑とワシの見ている緑は同一か?」と問うているのだからです。
しかし、私の見る「緑」と友人の目に映じている「緑」とが同一であるかどうか、どうやって確かめればよいのでしょう。「○○草と同じような深い草色」のように表現してみても、対象が入れかわっただけで、事態に変わりありません。けれど、それは、私たちの、誰と誰をとってみても、同じではないだろうか・・・私たちはみんな、「○○草」の色の経験を「みどり」と呼んでいるだけのことで、他人がそれを何色に見ているか、確認などしていないし、できません。