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「できない」と「できる」の科学史

 現在の交通信号灯が「色だけ」になっているわけではありません。三つのランプの横並びという「位置関係」情報がそこに付加されています。一つのランプの色が変わるだけ、と比較してみてください。

 かつての研究では「色が見えるかどうか」だけに焦点が合わせられ、信号灯を模した実験装置で「点灯させる位置を変えたら誤認が発生した」という結果が出て、「ことほどさように色が見えてない」と結論づけられたことがありました。
 しかし、後には、これが逆に「点灯するランプの位置関係が重要な情報を提供していて、当事者はそれを活用して判断していた」と解釈し直されたのです。

 同じ実験結果でも「できない」ことにするのか、「できた」と受け止めるのか。

 興味深く重要な科学史がここにあります。

2017年12月11日 facebook
 

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