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■ ホーム > 古テクスト  >  第2集  > 誰がどんな情念で 

 【要旨】 色覚と関連づけた職業の適格性分類についての、過去の例。

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誰がどんな情念で

 前掲『つくられた障害「色盲」』196頁〜203頁におさめられている、「東京医科大学式色覚検査表」の「解説」は、さきの石原式検査表解説以上に、分析心をそそられる対象です(同書によると、それは1957年5月に「村上色彩技術研究所」から発行されました)。

 その「解説」は、「色覚異常の程度と関連を持たせて」、職業を、次のように分類します。

 注意:これは過去に関する資料です。現在のものではありません。

a(「甲類」)
 「色覚異常があると、人命に係わることがある職種で、第1度の異常者でも就業させないほうが良い」ものです。第1度とは、つまり「軽い」ということ。
b(「乙類」)
 「色覚異常があると、仕事の遂行に重大な過誤を来す職種」ですが、この中には、「第1度の異常者なら就業させても良いものから、健常者のなかでも特に適性のあるものを選択する必要があるもの迄の職種が含まれている」そうです。
c(「丙類」)
 「色覚異常があると、仕事の遂行にやや困難を感ぜしめる職種で、第1度または第2度の異常者まで就業を許容し得る」ような職種です。
d(「丁類」)
 「色覚にほとんど関連のない職種で、異常者であっても就業して差支えない」。

 さて、ここでクイズにでもしてみましょうか。次の職業は、上のa・b・c・d のうち、どれに分類されるでしょう。「冗談」ではなく、本当に分類されていたのです。

  1. 巫女さん
  2. 人形劇団の役者
  3. 紙芝居屋さん
  4. 経理係の事務員
  5. 人事課の事務員
  6. 大工さん
  7. 左官屋さん
  8. 農家

 ヒントは別表(前掲書から引用)へ。こたえは次頁

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