夕闇迫れば

All cats in the dark

■ ホーム > 古テクスト  >  第2集  > 排除が排除を 

 【要旨】 制限がある職場には体験をもつ人がいない、すると希望者がいてもどう対処していいかわからない。こんな構図で、制限が制限を再生産し、排除が排除を再生産しているのではないだろうか。

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排除が排除を生む法則

 「私の場合」節で、私は、こう書きました。

 【引用】 私は「私の場合」を知らないのです。ある意味では、これが一番の問題だとさえ、言えるでしょう。……[略]……
 「医学部は避けた方がいい、学校の先生もムリかも」といった、一生を左右する指導をされながら、精密検査もなければ何の説明もなかったとは、いったいどういうわけだったのでしょうか。
 検査で「色弱」だと指摘されても、励ましやケアは、一切ありませんでした。生活上の注意点なども、説明を受けた覚えがありません。唯一の「アドバイス」は、「この道には進むな」という、そういうネガティブメッセージ「のみ」、「それだけ」なのです。私本人の志望を尋ねられたことすら、ありません。

 考えてみれば、小中学校の先生には、説明やケアができるはずがないのです。なぜなら、 職員室には、カウンセラーはもちろん、「色覚異常 」の人すら存在しなかったのですから。私が受けた進路指導も、おそらく、いままで見てきたような「解説」によって、おこなわれたに違いありません。

 たぶん、こんな法則があると思うのです。職場に色覚「異常」の人がいない。すると、その職場では色覚に関する知識が蓄積されない。となると、マニュアルに黙々と従うしかない。結果として、ますます排除の力学が作動する。

 排除が排除を再生産する法則、というわけです。

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